紫外線療法は、難治性の皮膚疾患に対して、薬物療法とは異なるアプローチで改善を目指す治療法として注目されています。
紫外線療法とは、医療用に調整された特定波長の紫外線を皮膚に照射し、過剰な免疫反応を抑制したり、色素細胞を活性化させたりすることで、皮膚疾患の症状を改善させる光線治療の一種です。日常生活で浴びる紫外線とは異なり、治療効果の高い波長(主にUVB:280〜320nm、特にナローバンドUVB:311±2nm)を選択的に使用するため、効率的かつ安全に治療を行うことができます。
○紫外線療法が効果を発揮するメカニズム
紫外線が皮膚に照射されると、まず免疫細胞(T細胞やランゲルハンス細胞など)の活動が抑制され、皮膚の炎症反応が軽減されます。
これにより、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患における赤みやかゆみの改善が期待できます。
また、紫外線療法には色素細胞(メラノサイト)を活性化させる作用もあり、白斑(尋常性白斑)などの色素脱失疾患において、失われた色素の回復を促進します。さらに、皮膚の細胞増殖を正常化する作用もあるため、乾癬のような角化異常を伴う疾患にも効果を発揮します。

【乾癬】
乾癬は、免疫システムの異常により皮膚の細胞が通常の約10倍の速さで増殖することで発症する慢性の炎症性皮膚疾患です。
遺伝的要因に加え、ストレス、感染症、薬剤などの環境因子が発症や悪化に関与すると考えられています。
紫外線療法は乾癬に対して高い有効性が認められており、特にナローバンドUVB療法では約70〜80%の患者様で症状の改善が見られるとの報告があります。
治療開始から2〜3ヶ月程度で効果が実感でき、症状が落ち着いた後も維持療法として継続することで良好なコントロールが可能です。

【アトピー性皮膚炎】
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能低下と免疫異常が複合的に関与する慢性の炎症性皮膚疾患です。
遺伝的素因に加え、アレルゲン、乾燥、発汗、ストレスなどの環境因子が症状を悪化させます。
日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」では、標準的な外用療法で効果不十分な中等症〜重症例に対して紫外線療法が推奨されています。
紫外線療法により皮膚の炎症が抑えられ、かゆみの軽減とステロイド外用薬の減量が期待できます。

【白斑】
尋常性白斑は、皮膚の色素を作るメラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少・消失することで発症します。自己免疫機序の関与が考えられており、甲状腺疾患など他の自己免疫疾患を合併することもあります。
紫外線療法は尋常性白斑に対する第一選択治療として広く用いられています。
特に顔面や体幹の白斑は治療への反応が良く、60〜70%の患者様で色素の再生が見られます。治療には時間がかかることが多く、6ヶ月〜1年以上の継続が必要になる場合もありますが、根気強く治療を続けることで改善が期待できます。

【掌蹠膿疱症】
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に無菌性の膿疱(膿を持った水ぶくれ)が繰り返し出現する疾患です。
喫煙や金属アレルギー、扁桃炎、歯周病などとの関連が指摘されていますが、明確な原因は解明されていません。
紫外線療法は掌蹠膿疱症に対しても有効性が認められており、外用療法との併用で高い治療効果が期待できます。

【円形脱毛症】
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられています。
本来は体を守るはずの免疫細胞(主にT細胞)が、誤って自分の毛根(毛包)を攻撃してしまうことで、毛髪が抜け落ちる疾患です。発症の引き金としては、精神的ストレス、疲労、感染症、遺伝的素因などが関与すると考えられていますが、明確な原因が特定できないケースも多くあります。アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患、膠原病などの自己免疫疾患との合併も報告されています。
紫外線療法の作用機序としては、毛根を攻撃している異常なT細胞の活動を抑制し、毛包周囲の炎症を鎮静化させることで、毛髪の再生を促すと考えられています。
特にエキシマライト(308nm)を用いた紫外線療法は、局所的かつ高エネルギーの照射が可能であり、ステロイド外用薬や局所注射で効果が不十分な症例に対しても有効性が報告されています。
紫外線療法の照射は、通常数秒〜数分程度で完了します。
患部の範囲や部位に応じて、全身照射型または局所照射型の機器を使い分けます。
当院で導入している「エキシプレックス」は局所照射型の機器で、ピンポイントに患部のみに紫外線を照射できるため、周囲の正常な皮膚への影響を最小限に抑えることができます。
照射時に痛みを感じることはほとんどなく、わずかに温かさを感じる程度です。
ただし、照射後数時間〜翌日に軽い赤みやほてりが出ることがあります。これは正常な反応であり、通常は数日で落ち着きます。
紫外線療法は1回で効果が出るものではなく、継続的な治療が必要です。一般的な治療スケジュールとしては、週1〜3回程度の照射を、症状に応じて数週間〜数ヶ月継続します。症状が改善してきたら、徐々に照射間隔を延ばしていく維持療法に移行します。
紫外線療法は、乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症など多くの皮膚疾患において保険適用となっています。
保険適応時の自己負担金額は以下が目安となります。
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自己負担割合 |
目安費用 |
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3割負担の方 |
約 1,020 円 |
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2割負担の方 |
約 680 円 |
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1割負担の方 |
約 340 円 |
エキシプレックスは、308nmの単一波長エキシマライトを照射する最新鋭の紫外線療法機器です。
従来のナローバンドUVB(311nm)よりもさらに治療効果の高い波長を使用しており、より少ない回数で高い効果が期待できます。

○高い治療効果
エキシプレックスが照射する308nmの波長は、皮膚疾患の治療に最も効果的な波長域とされています。国内外の臨床研究において、従来のナローバンドUVBと比較して、より短期間で症状改善が得られることが報告されています。
○ピンポイント照射による安全性
エキシプレックスは局所照射型の機器であり、患部のみに紫外線を照射することができます。これにより、周囲の健康な皮膚への不要な紫外線曝露を避けることができ、副作用のリスクを最小限に抑えることが可能です。特に顔面や手指など、デリケートな部位の治療に適しています。
○短時間での治療完了
エキシプレックスによる紫外線療法は、1回の照射が数秒〜数分程度で完了するため、忙しい患者様でも通院しやすいというメリットがあります。
○幅広い適応
乾癬、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、円形脱毛症など、さまざまな皮膚疾患に対応可能です。
紫外線療法は、外用療法や内服療法と組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。
当院では、紫外線療法単独にこだわらず、患者様の症状に応じて最適な治療の組み合わせをご提案いたします。
難治性の皮膚疾患でお悩みの方、これまでの治療で十分な効果が得られなかった方は、ぜひ一度当院の紫外線療法をご検討ください。
紫外線療法は、正しく行えば高い効果と安全性を両立できる治療法です。